気象予報士2670号(金子大輔)の虫虫博物館♪

昆虫、虫、生き物ネタを集めるブログです(*^▽^*)

昆虫おなら論

作品社から『おなら大全』という訳書が出ていますが、
おならって結構奥が深いものです。

たとえば、おならはどう違うか?

「おなら」の方がやや丁寧な言い方であること、そして屁のうち、
音が出るものを特に「おなら」と呼ぶという違いがあります。

つまり「すかしっぺ」をおならと呼ぶのは間違いなのです。
ベン図で表すとこんな感じになります。

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おならをするのは、ヒトばかりではありません。
地球上の生物で最もおならをするのはシロアリ


シロアリのおならは、温室効果ガスであるメタンがメインなので、
地球温暖化の原因として懸念する説もありますが、
ヒトが二酸化炭素を大量放出することを煙に巻くための
イチャモンに過ぎない気もします(笑)。

シロアリと分類的に非常に近い昆虫がゴキブリです。
ゴキブリも15分に1回の割合でおならをするそうです。

ただし、ゴキブリのブリはおならの音から来たのではありません。
御器噛り(ごきかぶり)が語源とされています。
御器とは食物を盛るための椀で、これを齧ることからきています。

このように、いろいろな生物がおならをしますが、
その成分は生物種によって大きく違っています。

ゴキブリやシロアリは「原始的なおなら」ですが、
カメムシのおならは「✨かなり高級なおなら✨」と言えそうです。
実験室で再現しようとしてもかなり大変です。

しかもカメムシの種類によって成分は異なり、
なかには芳香を感じさせられる種もいます。

たとえば水中のギャングとして恐れられるタガメ
カメムシの仲間ですが、タガメを食べると洋ナシの芳香がします。
(「昆虫大学」で経験済み)

【おならの成分いろいろ】
・ゴキブリ、シロアリ:
メタンなど

・ヒト:
窒素、水素、二酸化炭素アンモニア硫化水素
インドール(C8H7N)、スカトール(C9H9N)、ホスフィン(PH3)

スカトールは不快臭のする物質ですが、
薄めるとジャスミンの香りになるという不思議な物質です。

・スカンク:
ブチルメルカプタン(C4H10S)

・ミイデラゴミムシ:
ヒドロキノン(C6H4(OH)2)+過酸化水素(H2O2)=ベンゾキノン(C6H4O2)

※「バイナリー爆弾」のように、2種類の物質を体内に別々に保存し、
いざ使うときに混ぜると、爆発的に反応して100℃以上に達します。


カメムシ
ウンデカン、ドデカン、トリデカン、カプロン酸、ヘキサナール、
ヘキセナール、ディセナール、ヘキシールアセテート、モノテルペン、
オクテノール、ノナノン、プロペナール……などなど。