作品社から『おなら大全』という訳書が出ていますが、
おならって結構奥が深いものです。
たとえば、屁とおならはどう違うか?
「おなら」の方がやや丁寧な言い方であること、そして屁のうち、
音が出るものを特に「おなら」と呼ぶという違いがあります。
つまり「すかしっぺ」をおならと呼ぶのは間違いなのです。
ベン図で表すとこんな感じになります。
おならをするのは、ヒトばかりではありません。
地球上の生物で最もおならをするのはシロアリ。
シロアリのおならは、温室効果ガスであるメタンがメインなので、
地球温暖化の原因として懸念する説もありますが、
ヒトが二酸化炭素を大量放出することを煙に巻くための
イチャモンに過ぎない気もします(笑)。
シロアリと分類的に非常に近い昆虫がゴキブリです。
ゴキブリも15分に1回の割合でおならをするそうです。
ただし、ゴキブリのブリはおならの音から来たのではありません。
御器噛り(ごきかぶり)が語源とされています。
御器とは食物を盛るための椀で、これを齧ることからきています。
このように、いろいろな生物がおならをしますが、
その成分は生物種によって大きく違っています。
ゴキブリやシロアリは「原始的なおなら」ですが、
カメムシのおならは「✨かなり高級なおなら✨」と言えそうです。
実験室で再現しようとしてもかなり大変です。
しかもカメムシの種類によって成分は異なり、
なかには芳香を感じさせられる種もいます。
たとえば水中のギャングとして恐れられるタガメも
カメムシの仲間ですが、タガメを食べると洋ナシの芳香がします。
(「昆虫大学」で経験済み)
【おならの成分いろいろ】
・ゴキブリ、シロアリ:
メタンなど
・ヒト:
窒素、水素、二酸化炭素、アンモニア、硫化水素、
インドール(C8H7N)、スカトール(C9H9N)、ホスフィン(PH3)
※スカトールは不快臭のする物質ですが、
薄めるとジャスミンの香りになるという不思議な物質です。
・スカンク:
ブチルメルカプタン(C4H10S)
・ミイデラゴミムシ:
ヒドロキノン(C6H4(OH)2)+過酸化水素(H2O2)=ベンゾキノン(C6H4O2)
※「バイナリー爆弾」のように、2種類の物質を体内に別々に保存し、
いざ使うときに混ぜると、爆発的に反応して100℃以上に達します。
・カメムシ:
ウンデカン、ドデカン、トリデカン、カプロン酸、ヘキサナール、
ヘキセナール、ディセナール、ヘキシールアセテート、モノテルペン、
オクテノール、ノナノン、プロペナール……などなど。