「蛾は苦手だけれど、こいつだけは好き(はーと)」✨
そんな声をしばしば耳にするのがオオミズアオ。
学名ではかつてActias artemisといい、月の女神アルテミスを意味した。
(現学名はActias aliena)
忘れもしない2007年10月、近所のウメの木の下に、
見たことがないほど巨大なフンが散乱していた。
イモムシファンは皆そうだと思うが、これはこのうえなく心躍る瞬間なのだ。
このサイズのフンをするのはタダモノではあるまい。
ウメの木を探すと……
いた~!!オオミズアオの幼虫!
でも、あの常識外れのサイズのフンは、この子のものではあるまい。
翌日、改めてウメの梢の方を見たときの衝撃。生涯忘れることができまい。
梢の方で、サボテンみたいな物体がノソノソ動いている。
地球上に、こんな生物がいたことがにわかには信じがたかった。
脚立を持ってきて、その子を確保。
見かけ倒しではなかった。手に載せた感触も、一生忘れられまい。
ずっしりとした重さは、イモムシの常識をいとも簡単に覆した。
大きさは90ミリ弱だったが、太く重いのでボリューム感は半端ではない。
やがて、その子は蛹になり、越冬することになる。
越冬中にも、人の気配を感じると、ガサガサガサッと動いた。
本棚から本が落ちてきたような音なので、普通に驚かされる。
4月になったある日。
こともあろうか、その子は私の目の前で羽化してくれた!👏
けだるそうに繭から這い出てきた、白く太い物体。
存在感は、幼虫の頃に負けていない、というか、さらにアップしている。
羽根がだんだん広がり……
マジェンタの細いあしで、必死にからだを支えている。
噂どおり、かなりの美人(美虫?)だ。
太ってるのに、優雅で美しいのって反則はないだろうか。
まるでキャベツのよう。
これ以降、私は、オオミズアオを育てる機会には1回しか恵まれていないが、
虫好きの方は、絶対一回は育ててほしい蛾です。
それどころか、小学校の教室でも飼育して欲しい。
蛾へのイメージが大きく変わるはずだ。